アリウム、エリカ、モクレン、ライラックの特徴、花言葉、育て方
目次
アリウム
別 名 :ハナネギ
科 目 :ユリ科
原産地 :ヨーロッパ,アジア,北アフリカ,北アメリカ
花の特徴
4月から6月にかけて開花。開花期は主に春~初夏で花茎を長く伸ばし、その先端に小花がボール状にまとまって咲きます。花序(ボール状の花のかたまり)の直径は種により異なります。花の色は白、青、紫、黄、ピンクがあり、草丈は20~100㎝になります。
花の育て方
球根の植えつけは10月上旬~11月上旬が適期です。
花壇に植える際には、酸性土壌を嫌いますので、苦土石灰を1㎡当たり100gほど撒いて耕しておきます。1週間ほどしたら、堆肥を1㎡当たり5kgほど入れて、化成肥料と一緒に庭土とをよく混ぜてから、日当たりと水はけの良いところに植え付けます。夏の高温多湿に弱いので、夏は日陰になる落葉樹の下などが最適です。植え付けの深さは、大球は10~15㎝、中球は5~10㎝、小球は5cmとし、株間は大球で25~30㎝、中球は15~20㎝、小球は10~15㎝ほど取るようにします。多肥にすると球根が腐りやすくなるので注意します。
鉢やプランターは、市販の草花用培養土もしくは赤玉土とバーク堆肥(腐葉土)を2対1程度に混ぜたものなどを用います。植え付けの深さは大球は5㎝、中球は5㎝、小球は3cmとし、大球は6~7号鉢に1球、中級は6~7号鉢に3球、小球は6号鉢に5球を目安として植えます。花壇と同様、日当たりのよいところに置くようにします。水やりは表土が乾いてから施します(冬は月1回)。植えつけ時に緩効性肥料を与え、暖かくなったら花が咲くまで液肥を月2~3回与えるようにします。
注 意
アブラムシが発生したら、オルトラン剤などの殺虫剤を与えて対処する。
花の楽しみ方
アリウムには約700種の野生種があり、ニンニクやネギも同じ仲間です。主に、花茎が長い大型種は切り花として、また花茎の短い小型種は花壇用に利用されています。葉のない長い花茎とその頂部に傘形または球状の花序がつく姿はほかの草花にはないユニークさがあり、また花もちもよいので、生け花やフラワーアレンジメントに利用され人気があります。花壇でも、ギガンチウム(Allium giganteum)のような巨大な球状の花は存在感があります。
一諸に植えたい草花
ギボウシ,シラン
解 説
アリウムの仲間は北半球に3000種以上が分布します。アリウムの名称は学名(Allium)と同じで、ネギやニンニク、ラッキョなどの学名はいずれも名前の始めにAlliumuがつきます。Allium(アリウム)は 「ニンニク」の古いラテン名で、「匂い」という意味の言葉が語源とされています。それらのうち食用の種を除き、鑑賞用に栽培されるものを「アリウム」と総称しています。
品種は豊富で、花姿はさまざま。草丈も大型から小型まで揃い、茎の頂部に丸いつぼみをつけるのが特徴です。耐寒性があり、育てやすい点も魅力の一つです。
エリカ
別 名 :ヒース
科 目 :ツツジ科 エリカ属
原産地 :ヨーロッパ
花の特徴
10月から4月に開花します。色はピンク、白、赤。草丈は40~120㎝。通常は20~30㎝前後の鉢植えのものが販売されています。小さな花を枝にこぼれそうなくらいつけます。花の形にはスズランのようなものや、細長い筒状の花をつけるものがあります。
花の育て方
一般には12月に園芸店に開花株が出るので、それを買って鉢植えで栽培します。やや酸性の土壌を好むので、鹿沼土とピートモスを7:3程度に混ぜ合せた用土などを使います。日当たりと風通しの良いところで育てます。ただし、暖地の場合は、夏は半日陰~明るい日陰に移します。過湿を嫌うので、長雨が続きそうなときは、雨の当たらないところに移します。水は土の表面が乾いたら与えるようにします。乾燥にも弱く、水切れした株は元に戻りませんので注意します。植え替えは、毎年、若しくは2年に1回、4~5月頃行います。開花株は、総じて鉢が小さく、根詰まりしている場合が多いので、根鉢を少し崩して、一回り大きい鉢に植え替えます。元肥として緩効性肥料をすき込み、植えつけ、春と秋に液肥を月2回ほど与えます。多肥になると花付きが悪くなります。また、庭植えにしたものは、冬に寒肥を施します。
注 意
アブラムシやカイガラムシがつくことがあります。
花の楽しみ方
わが国では、庭植えなどでよく見かけるポピュラーなジャノメエリカをはじめ、鉢物として40種、50品種くらいが流通しています。草姿や開花期、花色、花形など変化に富み、壷状やベル形のものから細長い筒状のものまであり、雄しべの葯が黒く目立って、蛇の目のように見えるものも多くあります。また、イギリスなどのヒースランドを形成している種類は耐寒性が強く、寒冷地ではグラウンドカバーとしても利用されます。
一諸に植えたい草花
ガーデンシクラメン,ハツユキカズラ
解 説
エリカ属には740種があるといわれ、そのうち16種がヨーロッパに、ほかの大部分のものは南アフリカに自生し、流通しているのは殆ど南アフリカ原産です。
名前はギリシア語のエイレケー(砕くの意)に由来し、体内の胆石をとる(砕く)薬効があるとされていたため、そのような名前が付けられたともいわれています。葉は短い針型や線形で、枝にびっしりと付く姿は、枝に葉が生えているといった感じです。花はタマゴ型や壺状の小さな粒々のもの、紡錘形などがあります。南アフリカ原産種は日本の気候に適し、冬咲きのものが大半を占め、一部品種が庭木や鉢花として定着しています。耐寒性があり、種によっては-8℃くらいまで耐えます。ヨーロッパ原産種は日本では庭木としてあまり栽培されておらず、高温多湿が苦手な反面、耐寒性に大変優れ、-15℃~-20℃まで耐えます。
繊細な枝に小さな花がびっしりと咲くため、株全体を見るとにぎやかな印象を受けますが、一つ一つの花も可憐で個性豊かです。
「モクレン」の基本情報
一般名 モクレン
学名 Magnolia
科名 モクレン科
属名 モクレン属
原産地 中国・アジア大陸・南米北部~北米
草丈 3~15m
花径 5~15cm
開花時期 3~5月
「モクレン」の説明
「モクレン」は、別名を「モクレンゲ」といいます。が原産です。
モクレンというと主に、中国原産の紫木蓮(シモクレン)をさしますが、白木蓮(ハクモクレン)もあります。花が空に向かって咲き、あまり手をかけなくても樹形が整いやすく、香りがよいという特徴があります。
「モクレン」の花言葉
- 自然な愛情
- 自然への愛
「モクレン」の花言葉の由来
モクレンは、蘭のような花が咲く様子に似ているので「木蘭(モクラン)」と呼ばれていた時もありました。しかし、蘭よりもハスの花に似ているので、「木蓮(モクレン)」と書くようになりました。
地上最古の植物の一つとされているモクレン。その木の枝は細くて葉っぱも小さいのに、花はひときわ大きく空に向かって咲く特徴があります。
そんな自然の躍動と魅惑的な雰囲気を感じることのできる力強い花の様子から、「自然な愛情」や「自然への愛」という花言葉へと結びつけられたのでしょう。
「モクレン」にまつわるエピソード
詩人家・サトウハチローさんの詩に「もくれんの花」が登場する詩があります。
「白い白い木蓮が ひとつ ほっかり 咲きました。
ため息みたいな白さです。 もわっとしている白さです。
だからホワッとさびしいんです。
白い白い木蓮が 春の顔して咲きました。」
モクレンの大きな花の一つ一つ様子を「ほっこり」「もわっと」「ホワッと」「ため息みたいな」と表現し、上手にその情景を捉えているとてもあたたかな気持ちにさせられる詩です。なんとなく「人間の顔の表情」を表現した詩のようにも感じますね。
サトウハチローさんは、「リンゴの詩」「ちいさい秋みつけた」「うれしいひなまつり」などの流行歌や童謡を残した人です。お茶目でやんちゃな少年だった反面、さみしがり屋だったといわれます。自然を敏感に感じとることのできる情緒豊かな方だったのでしょう。
気持ちを映し出すことのできるモクレンの花の姿には、やはり自然な愛情を感じます。詩に出てくる「だからホワッとさびしいんです」の表現は、サトウハチローさんのどことなく寂しい心の声を感じる事ができます。
インテリアにモクレンの花を
インテリアとして、モクレンを飾るとお部屋がすごくおしゃれになりますね。モクレンの花だけでも存在感があって素敵ですが、他の花と一緒に生け花にして飾ると、より一層引き立つような気がします。
絵画やポスター、写真をはったりするのもいいですね。最近では貼ってはがせる壁紙シールが流行っていますよね。のっぺらぼうの壁紙に、簡単にアレンジできてしまうところがいいですよね。モクレンの花のシールもあって、優しい雰囲気のものやゴージャスなものと種類はありますが、壁一面に大きく貼っても派手な感じはしないし圧迫感もないんです。
モクレンの花があるだけで気持ちが明るくなり、そしてゆったりと過ごせる空間づくりができるように思います。洋風にアレンジしてもいいですし、和風仕立てでも似合う素敵な花なんですね。
ライラックのプロフィール
一般名:ライラック
学名:Syringa vulgaris
科名:モクセイ科
属名:ハシドイ属
原産地:ヨーロッパ、コーカサス地方、西アジアの高原地帯
樹高:4~8m
花形:先が4裂した5-8mmの筒状花が紡錘状につく
開花時期:4~5月
ライラックの花言葉と由来
ライラックの花言葉は、「思い出」、「友情」。紫色のライラックの花言葉は、「初恋」、「愛の芽生え」。白いライラックの花言葉は、「無邪気」、「若さ」、「青春の喜び」、「若き日の思い出」です。
フランスでは、白いライラックは青春を象徴する花といわれていて、花言葉にもそれにふさわしい言葉が並びます。ライラックのすっきりとした若々しい香りは、「初恋」や「愛の芽生え」、若いころからの「友情」を感じさせます。とはいえ、ライラックといえば薄紫色、色の名前にもなっていて、JIS規格にも登録されています。
ライラックの名前の由来
英語で「ライラック」と呼ばれていますが、フランス語では「リラ」です。日本でも、文学作品では、リラという名前の方多く使われているようです。「ライラック」と「リラ」は、「LILAC」の発音の仕方が違うもので、サンスクリット語で暗青色を指す「nila」に由来します。
和名は「ムラサキハシドイ」、紫色の花が枝の端につくことから、「端につどう」ということで、この名がついたそうです。ハシドイは、日本語の属名もになっています。英語の属名は「syringa」ですが、こちらは、ギリシャ語で管や笛を意味する言葉です。ライラックの木で縦笛を作っていたことに由来します。
ライラックの特徴
ライラックは涼しい所を好むので、日本では北海道でポピュラーな木です。札幌市の市の木にもなっています。5月中旬から見ごろを迎え、5月の末には毎年「ライラックまつり」が行われています。桜の咲く季節に、急に気温が下がることがありますが、そういった日のことを「花冷え」といいます。ライラックが咲く5月から6月ごろに、北海道では、急に気温が下がる日があり、そのような状況を、「リラ冷え」といいます。渡辺純一の小説「リラ冷えの街」で、この言葉は全国に知られるようになりました。ライラックの淡い花の色と相まって、涼しい中に芯の通った雰囲気を感じる言葉です。
香りも素晴らしいライラック
ライラックの花の色、リラという色は人気のある色です。藤色にも似ていますが、もう少し鮮やかな感じがします。ライラックは、香水にもなっているほど香りの良い花です。満開のライラックの木のそばを通ると、幸せな気持ちになれる香りがします。そんなライラックですが、切り花にしてしまうと、香りがなくなってしまうというのは、とても残念です。ライラックの香りにはダイエット効果もあるというので、是非楽しみたいものです。ライラックのエッセンスオイルでアロマテラピーをというのもよいかもしれません。。玄関に置くと、家に出入りするたびに若いころの色々な「思い出」がよみがえってきそうです。実は、ライラックの花は通常4弁ですがまれに5弁のものがあり、5弁のものを見つけたら誰にも言わずに黙って飲み込むと思いがかなう、という言い伝えがあります。もし見つけたら、試してみたいものです。