生け花において大切な「構成と花の顔の向き」について
自然の中で活き活きと精いっぱいに生きる、あるがままの草花の様子が巧妙に現わされているのが生け花ですが、実は生け花にも花を美しく見せるために、構成や手法がしっかりと決められているのです。今回はそのような生け花における構成とその際にに重要な「花の顔の向き」についてご紹介させていただきます。
目次
生け花における構成
まず、生け花を始める前に生ける花を決め、花を生ける状態まで整えましょう。この際の整えるとは、余分な葉などを整理しておくことをいいます。葉が多すぎると、花を邪魔してしまい、その花の美しさが十分に活かされないことに繋がってしまいます。そのため、バランスを見ながら余分だと感じる葉を切り落としていってください。この際に裏葉と呼ばれる、葉が裏側を向いてるものは必ず切り落とします。
基本の構成としては、剣山を上から見て上にくる部分を主として3点を中心に構成されていきます。三角形の中で一番上にくる植物のことを「真(しん)」と呼び、真の位置に来る植物が一番メインとなります。そのために最初に真の位置に花を生けるようにしましょう。真の花は中心軸から15度ほど倒した角度で生けるようにします。
真の花を生けたら、次は「副(そえ)」の花を生けていきます。副の位置は剣山を上から見た三角形の左側の位置となります。真の花が副の花によって霞まないように気をつけましょう。副の花は中心軸から45度倒して生けます。花の長さは、真の花の3/4になるようにカットしてください。
副の花を生けたら、最後に「控(ひかえ)」の花を生けましょう。控の位置は剣山を上から見た右側の位置となります。控の花には副と同じ花が用いられることもしばしばあります。控の花は中心軸から75度倒して生けます。花の長さは副の3/4になるようにカットします。
3点を生け終えたら、次は「従枝(じゅうし)」の植物を生けていくようにします。生け花では、剣山がはっきりと見えてしまうことはタブーとされているため、生け花全体のバランスを整えるためだけではなく、剣山を隠す役目も兼ね備えています。従枝は真副控の花より短くなるようにしてください。
しっかりと真副控の決まった構成に従って生けることで、先人から受け継がれてきた美しい生け花のバランスが生み出されます。
生け花における「花の顔の向き」
生け花において「花の顔の向きを大切にする」とよく言われますが、「花の顔」とは花首(茎から花を支えている部分のこと)が太陽に向かって少し傾くことから、その光の当たっていた部分のことを指します。生け花ではその花の顔が正面から見て一番美しく見えるように生けていきます。一輪の場合でも、菊や桜のようにたくさん花がついたものでも、花の顔の向きは重要です。花首が垂れ下がるように生けると、花の顔が見えづらくなってしまい、せっかくの美しさも活かされません。花の顔が上を向いて活き活きとした雰囲気を表現できるように花首が反り上がるように生けると良いでしょう。
まとめ
自然に咲く美しい花々のあるがままを再現されるように形作られていく生け花ですが、その中にも美しく魅せるために緻密に計算し構成していくことが、よりよい生け花に繋がっていきます。良かったら生け花をされる際に参考にしていただけると幸いです。